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Sekaishi 04

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    March 2018
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テレビ学習メモ 第4回 世界史 講師:水 島   司 古代インド ~仏教とアショーカ王~ 今回学ぶこと 2千数百年前のインドで、その後世界の三大宗教となり、日本人の信仰にも大き な影響を与えることになった仏教が誕生した。仏教は、どのような社会背景の下で 生まれ、何を唱え、どのような人々に、なぜ支持されたのか。なぜアショーカ王は、 その教えをインド各地に広げようとしたのか。仏教はなぜインドから消えてしまっ たのか。その後仏教はどうなってしまったのか。これらの謎に挑戦してみよう。 学習前チェック 自分の回りに、古代インドとつながるものがあるか探してみよう。 仏教徒の多い国を調べて順に並べ、インドが何番目にあるか見てみよう。 仏教は、日本にいつごろどのようなルートを経て伝わったのか調べてみよう。 ▼ 上げたが、その過程で多くの犠牲者を出したことを 1st stage 悔やみ、熱心な仏教徒となった。それ以降は、武力 紀元前6世紀、ガンジス川流域では幾つもの都市 ではなく、仏教の考えを基礎とする「ダルマ」(法) や王国が生まれた。そこで最も高い身分だと主張し の政治を目指し、その教えを刻んだ石碑を各地に作 たのがバラモンと呼ばれる司祭階層であった。彼ら り、仏教を広めた。 は、厳格な祭式と苦行が救いを得る道だと唱えた。 2nd stage こうした考え方に対し、ブッダは苦悩からの救いの 道を説き、都市の商工業者を中心に、身分制の下で 仏教は、インドだけではなく、アジア各地に広 苦しむ人々の共感を得た。ブッダの教えをインド各 がっていった。アショーカ王の息子の代にスリラン 地に広げたのは、マウリア国のアショーカ王だった。 カに伝えられ、そこから東南アジア各地に広まった。 王は、諸国を征服してインド史上初の大帝国を築き また、中国や朝鮮半島を経て、6 世紀にはついに日 −8− 高校講座・学習メモ 世界史  古代インド 本にまで伝えられた。また、ブッダの教えを究めに、 出家主義をとっていたが、これらの修行僧を支えた 玄 奘 や義 浄 など中国から僧がインドを訪れた。現 階層は、バラモンの身分意識に反発し、平等を求 在、 仏教徒の数は数億を数え、キリスト教やイスラー めた都市の商人達であった。しかし、3 世紀ごろか ム教に並んで、世界の三大宗教にまでなった。とこ ら商工業が全体的に衰退したため、スポンサーと ろが、インドでは、5 世紀ごろから仏教の衰退が目 なった都市の商人たちは仏教僧を支えられなくなっ 立ち始め、ついには 10 世紀ごろ、インドに中央ア た。他方、外的な要因として、3 世紀ごろ、それま ジアからイスラーム勢力が侵入して多くの仏像や寺 で祭祀と儀礼に重きを置いていたバラモン教の自己 を破壊し、僧侶たちがチベットやネパールへ逃げた 改革がある。民衆の土俗的な世界観を取り入れてヒ ことから、インドで仏教は滅びてしまった。 ンドゥー教に変身して人々の支持を得、仏教徒を吸 げんじょう ぎ じょう 収した。さらに王権とも結びつき、仏教を攻撃した。 3rd stage このように、ヒンドゥー教の強大化と反比例した形 仏教がインドで滅んだ理由として、まず内的な要 で、仏教は滅んでいった。 因がある。仏教は世俗から離れた場所で修行を行う ▼ 今回のまとめ 身分の上下を主張し、苦行や儀礼を重んずるバラモン教に対し、釈迦は精神的な悟   りによって苦悩から逃れることを説く仏教を生み出した。 武力によってインドの統一を果たしたマウリア帝国のアショーカ王は、暴力を悔い、   仏教の思想に基づくダルマ(法)を広めることによって統治しようとした。 仏教は、王権と結びついたバラモンの攻撃やイスラーム勢力による破壊によってイ   ンドで消滅したが、アジア各地へと伝えられ、世界の三大宗教となった。 −9− 高校講座・学習メモ